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2011年02月17日

いまさらながらの展示学入門@『展示論 博物館の展示をつくる』



気付いたら10万アクセス通過です。よく分からないですけど、この中には自分がアクセスした分や、機械がチェックしにくる分なども含まれるでしょうから。単純にのべ人数とは言えないでしょうけどね。にしても何だかひとつの区切りとして嬉しいですね。そして、少しでも見にきて下さった皆様に感謝です。ありがとうございました。

最初の記事が2007年の8月ですから3年と6ヶ月たってますね。42ヶ月のうち10ヶ月は記事がない月もありましたけど。そして、これが168件目の記事です。

日本展示学会編『展示論 博物館の展示をつくる』という本があります。日本展示学会という「展示する」という事について考える学会がつくった入門書みたいなものです。今回はパラッと読んだその感想を。



1.入門書『展示論 博物館の展示をつくる』の気になったところ

この本は2〜4ページずつ60人も執筆者が各項目についてかいたものです。うーん、事典を少し柔らかく書いたようなものかな。気になったところをいくつか。


さてさて、そもそもその定義とは?国際博物館会議(ICOM)の定義によると
「博物館とは、社会とその発展に奉仕する一般に公開された非営利の恒久的な施設であり、人々とその環境の有形無形の証拠を研究、教育および娯楽のために収集、研究、伝達および展示をおこなうものである。」
と本にはありました。「有形無形」や「教育および娯楽のために」っていう部分が意外なところで面白いですね。


その博物館や美術館の始まりは、貴族たちが珍品や美術品を収集したもの、学者が標本として自然物の収集や分類をしたようなもののようです。そして、18世紀には現在の博物館の基礎となる大英博物館が誕生します。その後、日本には明治維新をへて導入されていく事だったようです。


さらにより充実した意味で、ただの見せ物から情報伝達としての「展示」へと変化したのは戦前のおよそ1930〜40年代あたりだそうです。九州芸術工科大学の初代学長の小池新二は
「勧業博覧会時代の展示対象は専ら物であり、文化博覧会時代の展示対象は『物に対する態度』、すなわち『物の観方』である」
小池新二『凡美計画』アトリエ社、1943
と表現したそうな。ふむふむ、ただ物を見せるだけでなく、「物語り」が必要とされる所以ですね。


ここ、最近僕が気になっている問題、「ほぼ無限な画像・動画・文字情報を扱えるインターネットがあれば展示施設は要らないかも」問題についてはあまりつっこんだ話がこの本にはなかったのは残念。その意味では、これまでの展示の在り方を整理しまとめあげたって所で、今後の在り方についてはこれからの研究対象といったところでしょうか。

展示論日本展示学会/編
『展示論 博物館の展示をつくる』
雄山閣 2010年07月 2,730円


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2.ショッピングモール的な博物館@いのちのたび博物館

で、たまたま『展示論』の本の中で、北九州市の「いのちのたび博物館」をつくったときのコンセプトなどがありました。特に建築構造と展示の関係について書かれているようでした。ちょうど博物館のとなりにはイオンのショッピングモールがありますが。実はこの博物館がショッピングモールのようにつくられていることを改めて確認させられました。

従来の博物館では四角形の壁側にガラス張りの展示で一方通行的なものが多いかと思います。しかし、この博物館の各展示コーナーは円形や凸凹していたり、また順路をあえて定めない自由で自主的な行動を促すようなつくりになっています。それはちょうどショッピングモールのように各専門店が特徴ある形でお客が自分の興味や関心のもとにそぞろ歩くような形です。

このようにすることで、変化のあるつくりで興味関心を引いて、また単純な素通りをさせないような、ありゃ、こんな所にこんなものがあったという発見などの可能性を広げます。一方で、展示の構成上もまた物理的にも実は迷路の様に分かりにくさも生まれるので、各所に全体位置図や矢印などのサインをおくなどの配慮が必要になる形ではありますが、面白いやり方ですね。

展示空間を楽しませるための手法の良い例のひとつですね。インターネット上でもこういった構成はつくれますが、実際に自分がその空間であっち、こっちへと行くのはまた違った楽しみ方ができますもんね。

いのちのたび博物館は前にこんな記事も書いています。1つしかないですが、もう2、3回は通った気がします。歴史系の特別展のときしか行ってないですけど。ですから、このときの記事も歴史系の展示に細かく書いてます。2007年の10月の記事だから、このブログを書き出したときだから意気込んでいたんだろうなぁ(笑)今、読み返してみると僕が言いたかったことはこの頃から変わってないなぁと。

いのちのたび博物館
【いのちのたび博物館。】





3.美術館にはメディアの力が必要なのですね。

京都で見た「生活と芸術 アーツ&クラフツ展」(前に書いた記事)についてもこの本で取り上げられていました。こうしてみると、僕はなかなか良いもの見に行ってるのかもと自負したい(笑)ここではメディアと美術館との関わりという問題の例としてあげられたものでした。

この展示はもともとイギリスの美術館が企画したもので、日本の部分も重要な扱いであったので当初から日本での展示をというはたらきかけがあったそうです。ただし、イギリスからの輸送など当然費用がかかりますので、メディア(この展示では朝日新聞社)、日本の美術館の協力が必要でした。

日本開催のときにいくつの変更点があったそうです。
1、観客動員の実績のあるウィリアム・モリスのものを増やす。
2、当地の日本の「三国荘」の再現を拡充すること。
3、類似品は日本にある資料を代用して輸送費削減かつ日本の美術館の収蔵品を知らしめる。
とくに、2や3は研究や収集の蓄積がある美術館があるからできる事ですね。

逆に、メディアの強みとして、広報や関連グッズ、音声ガイド、タイアップ企画などがあります。また、実は日本の美術館より、海外の美術館との実績という点で強みがあることを知りました。海外の美術館は企画を日本の美術館にではなく、まずメディアにコンタクトをとるケースが多いそうな。広報や経費などを検討するためという事らしいのですが、海外の方がメディアを活用するのがうまいのかな。てっきり美術館同士でまずやるのかと思っていたのでちょっと意外。

生活と芸術——アーツ&クラフツ展に行ってきました!
【「生活と芸術——アーツ&クラフツ展」に行ったときの写真】



このほかにも展示や博物館関係の本もたまには読んで紹介していけたらと思います。  続きを読む
Posted by nettarou at 20:35Comments(0)TrackBack(0)展示関係の本