2011年03月31日
〜4/4あの「女」が宇部市にいたなんて!@ときわミュージアム
ときわ公園内にあるときわミュージアムの「没後百年 愛に生きた彫刻家荻原守衛 -“女”の表現とその技法-展」に行ってきました。荻原守衛の女とはこちらの作品です。美術の教科書にのっていたような記憶がありますね。
教科書にのるようなものが何で宇部なんかに?(笑)と思ってしまいますが。この手の彫刻は原型から鋳造でいくつもつくる事ができるんですね。で、宇部市にある「女」は宇部市連合婦人会の寄贈によるものらしいです。ちなみに、場所はときわ湖水ホールという分館にあたる建物のほうですよ。
以下はこんな感じです。
1.荻原守衛の13年実らぬ愛から生まれた「女」
2.「言葉」「作品」「体験」「つながり」が揃った展示とは?
3.宇部市内に218個の彫刻を全部見るには?
1.荻原守衛の13年実らぬ愛から生まれた「女」
荻原守衛の略歴はこちら。もちろん、碌山美術館にもありますね。
1879(明治12)年 長野県安曇野市に生まれる。両親の離婚後、祖父に育てられる。
1896(明治29)年 17歳のとき、先輩の妻である相馬良(黒光)に出会う。
東京の女学校で学んだ黒光から、文学や芸術を学び、画家を志す。
1901(明治34)年 22歳のとき、渡米して美術を学ぶ。
1904(明治37)年 25歳のとき、訪れたフランスでロダンの「考える人」を見て、彫刻へ。
1907(明治40)年 28歳のとき、ロダンに面会。「坑夫」製作。
1908(明治41)年 29歳のとき、帰国。黒光と再会し、黒光への愛に苦しむ。
1910(明治43)年 満30歳。「女」製作。吐血して亡くなる。
荻原守衛は17歳のときに、先輩の妻である相馬良(黒光)と出会います。黒光は東京の女学校をでた才女で、芸術や文学などの話を守衛としていたそうな。そうして、守衛は画家を志していくとともに、黒光への実らぬ想いも膨らませていきました。
「女」は、その黒光を想ってつくられたようです。後ろ手にしばれれたような姿勢ながらも、上を見上げる姿が当時の習慣に縛られながらも輝いて生きる女性像であり、黒光の姿であったと解説されます。
守衛は「love is art,struggle is beauty.(愛は芸術なり 相剋は美なり)」という言葉も残しているそうです。「女」はまさにそれを表現したといえるのかもしれませんね。
【ときわミュージアム分館。】
2.「言葉」「作品」「体験」「つながり」が揃った展示とは?
さて、展示はというと、はじめに荻原自身や、荻原と交流が会った高村光雲など人たち、そして黒光の言葉などが年譜とともにならんでいます。長く文章が続くんですが、これを全部読む猛者はいるのでしょうか(笑)?一部読んでみた黒光の言葉はちょっとした恋愛ものの描写として面白いですよ。
次に、荻原の他の作品や、「女」を構想したスケッチなど。そして、宇部市にある「女」そのものが並びます。よく見ると「女」の背中は実はけっこう雑なつくりなんですね。未完成だったのかな。でも、出品はしているしなぁ。
それから、後半はワークショップとして実施された「鋳造たいけん!」の様子。写真と実際につくられた作品が展示されています。
そして、ここからが面白いなと思ったのは彫刻をつくるときの「鋳造」についての技術的な解説。これが宇部の宇部スチールという会社での鋳造の様子なども紹介されています。ここで、私達の日常の社会と非日常っぽい彫刻という芸術作品とがつながる点が良い。実は宇部という工業都市は、金属などを素材とする彫刻とは相性が良いのかもしれませんね。彫刻を通して、文化と工業が出会える場所としての宇部が特徴づけられそう。
その人を語る「言葉」、表現された「作品」、実感する「たいけん」、今の私達の生活との「つながり」。多様な要素がつまった良い展示構成でした。ただ、あの解説文を全部立ちながら読むのはつらい。展示会場ではパッと手軽に見れる内容のパネルの方が良いかと思います。より詳しい内容はホームページにPDFなどで配信すると便利。お持ち帰り用のパンフに載せるのもお土産感覚で嬉しいですね。
【石炭記念館前の坑夫。実はこれも荻原の作品。】
3.宇部市内に218個の彫刻を全部見るには?
「ときわ公園彫刻ウォーキングマップ」「宇部市街地彫刻ウォーキングマップ」が会場で配られていました。ときわ公園には101個、宇部市街地で117個も彫刻が設置してあるんですね。ちなみに、「宇部市デジタルアーカイブ うべ蔵くん」に彫刻のデータベースもありますね。ここには個々の作品の解説みたいなものもあります。
せっかくだから、この解説を携帯とかで現地で見れるようにしてくれればいいのにな。QRコードを使って携帯で情報を読めるようにするとか。他にもの作品同士をつなげる物語やコース、タグとかもつけると巡りやすいなぁ。
宇部の彫刻といえば50年の歴史をもつ彫刻展。前に書いた記事は2007年の第22回現代日本彫刻展。今は「UBEビエンナーレ」となってますね。それで、50周年の今年は第24回UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)で、2011年9月24日(土)〜11月13日(日)にあるそうですよ。
【彫刻ウォーキングマップ。全部見れるだろうか(笑)】
相馬黒光/著、『相馬黒光 黙移』荻原守衛が愛し続けた黒光の自伝です。守衛以外にも多彩な文学人、芸術家と交流があったんですね。黒光の魅力が伝わります。
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宇佐美 承/著、『新宿中村屋 相馬黒光』こちらは黒光の評伝です。あの時代のなかでの黒光の人生をみていきます。自伝とは違った視点がひらけるでしょうね。
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